税金・社会保険・雇用届出ガイド

日本で暮らす外国人の方や、外国人メンバーを雇用している企業のみなさんにとって、いま一番知っておきたい大切なテーマがあります。

それが「公的な義務や手続きをきちんと行っているか」という点です。

現在、出入国在留管理局(入管)の審査では、税金や社会保険の支払い状況がとても厳しくチェックされています。

また、会社側が行うべき手続きにも法律上の義務があります。

この記事では、支払いや届け出に遅れ・漏れがあったときのリスクと、安心して日本での生活や雇用を続けるためのポイントを分かりやすく解説します。

1. なぜ税金や社会保険のチェックが厳しくなっているの?

在留資格の更新や変更が認められるためには、「日本のルールを守って、公的な義務を果たしていること」がとても重視されます。

これまでは、入管と役所や年金事務所との間で情報がすぐに伝わらないこともありました。

しかし現在は、マイナンバーによる情報連携が進んでおり、支払い状況がすぐに確認できる仕組みになっています。

また、法改正により、税金や社会保険料を支払わない場合に「永住者」の在留資格を取り消すことができる制度の導入が進むなど、国全体のルールも大きく変わってきています。

2. 支払いが遅れたり漏れたりしたときの「3つのリスク」

税金(住民税など)や社会保険(年金・健康保険)の支払いに遅れや未払いがあると、以下のような困った事態になることがあります。

① 在留資格の「更新・変更」が認められない

国の方針として、健康保険料や国民年金を支払わず、役所からの案内にも応じない場合、在留資格の更新や変更を原則として認めないというルールが進められています。

ビザが更新できないと、日本で働き続けることも、暮らすこともできなくなってしまいます。

② 永住が取れなくなる

将来的に「永住権」を取りたいと考えている場合、支払いの遅れはとても大きなマイナスになります。

ただ「未払いがない」というだけでなく、「決められた期限までに毎回支払っているか(期限内納付)」が厳しくチェックされます。

「永住の申請をする直前に、たまっていた分をまとめて支払った」という場合でも、過去に期限が遅れていたことが原因で不許可になってしまうケースが実際に増えています。

③ 在留期間が短縮されてしまう

これまでは「3年」や「5年」といった長い在留期間をもらえていた方でも、支払いの管理が十分にできていないと判断されると、期間が「1年」に短縮されてしまうことがあります。

毎年更新の手続きをしなければならなくなり、手間も費用もかかってしまいます。

3. よくある納期限の遅れに繋がりやすいケース

悪気はなくても、手続きのタイミングや仕組みを知らないことで、支払いが漏れてしまうことがあります。特に以下の3つのケースには注意が必要です。

  • 転職するときの「会社に所属していない期間」
    会社を移る際、有給休暇の消化などで1か月以上のブランクができることがあります。
    この期間は、自分で国民年金・国民健康保険に切り替えて支払う必要がありますが、この手続きを忘れてしまう方がとても多いです。
  • 「家族滞在」の配偶者の方がアルバイトをするとき
    扶養に入っているご家族のアルバイト収入が一定の基準を超えると、扶養から外れて自分で国民健康保険や国民年金に加入しなければなりません。
    この基準を知らずに、手続きが漏れてしまうケースがあります。
  • 「住民税」が給料から引かれていないとき
    住民税は会社の給料から毎月引かれる方法(特別徴収)が一般的ですが、入社したばかりの時期や会社の切り替えのタイミングで、役所から届く紙(納付書)を使って自分でコンビニなどで支払う方法(普通徴収)になっていることがあります。

4.安心して在留するためにできる対策

在留資格のトラブルを防ぐために、今すぐできる優しい対策です。

  • 「口座振替」や「クレジットカード払い」に変える
    払い忘れをなくす一番確実な方法は、毎月自動で支払われる仕組みにすることです。コンビニ払いではなく、銀行口座からの引き落としやクレジットカードでの支払いに登録しておくと安心です。

  • 未払いに気づいたら、すぐに役所に相談する
    もし支払っていない分が見つかったら、できるだけ早く支払いましょう。もし一度に支払うのが難しい場合は、役所の窓口で分割払いや、収入に応じた「免除・猶予」の仕組みがないか相談してみてください。そのままにしておくのが一番のリスクになります。

5. もうひとつの公的義務「外国人雇用状況の届出」

外国人を雇用する(または退職する)際、社会保険や雇用保険の手続きのほかに、企業側にも法律で定められた重要な義務があります。

「外国人雇用状況の届出」という手続きが必要となります。

これは、正社員だけでなく派遣労働者やアルバイト、パートタイムの方なども含め、すべての外国籍のスタッフが対象となります。

  • 注意してください
    この届出を忘れてしまったり、正しくない内容で届け出たりした場合、30万円以下の罰金の対象となってしまいます。
    会社の信用にも関わる大切な手続きですので、必ず期限内に行いましょう。

手続きは「入社したとき」と「退職したとき」のどちらも必要です。

スタッフの働き方(雇用保険に加入するかどうか)によって、少し期限や方法が変わります。

スタッフが「入社」したとき

  • 雇用保険に入るスタッフ
    通常の雇用保険の手続き(資格取得届)と一緒にハローワークへ届け出ます。期限は、入社した翌月の10日までです。
  • 雇用保険に入らないスタッフ(短時間のアルバイトなど)
    専用の「外国人雇用状況届出書」で届け出ます。期限は、入社した翌月の末日までです。

スタッフが「退職(離職)」したとき

  • 雇用保険に入っていたスタッフ
    通常の雇用保険の手続き(資格喪失届)と一緒に届け出ます。期限は、退職した翌日から10日以内です。少し期間が短いので急ぎましょう。
  • 雇用保険に入っていなかったスタッフ
    専用の「外国人雇用状況届出書」で届け出ます。期限は、退職した翌月の末日までです。

6.在留資格に関わる手続き一覧

日本での安心した在留・雇用のために、遅れや漏れがないか定期的にチェックしましょう。

外国人の方本人が行うべき手続き(税金・社会保険)

特に転職時や、扶養を外れるタイミングでの手続き漏れにご注意ください。

項目 手続きの内容 納付の期限 摘要
住民税
  • 自宅に届く納付書での支払い(普通徴収)
  • 毎月の給与から天引き(特別徴収)
各期日(納付書に記載された期限)まで 転職のタイミングなど、自分で払う形式(普通徴収)の際が要注意です。
国税
  • 所得税・消費税・相続税など
各税目の納付期限まで 税金の未納はもちろん、一度でも納期限が遅れると不許可リスクが出てきます。
国民年金
国民健康保険
  • 転職などで1月以上のブランクがあるなど、自分で加入・支払う。
各期の納付期限まで 転職期間中の有給休暇中なども未加入・未納になりやすいため、注意が必要です。
扶養家族の
年金医療保険
  • 「家族滞在」などのアルバイト収入が扶養の範囲を超えた場合、扶養から外して加入。
収入が基準を超えて扶養から外れたとき 基準を知らずに扶養のままにしていると、手続き漏れを指摘されるリスクがあります。

企業(雇用主)が行うべき手続き

手続き 条件 手続きの期限 提出先
社会保険の加入
(健康保険・厚生年金)
正社員や一定の要件を満たすアルバイト 採用から5日以内 年金事務所
雇用保険 週20時間以上かつ31日以上働く場合 入社した翌日から10日以内 ハローワーク
外国人雇用状況の届出 雇用保険に加入する場合 入社した翌月の10日まで ハローワーク
社会保険の喪失 雇用保険に加入しない場合 入社した翌月の末日まで ハローワーク

安心して日本での在留・雇用を続けるためのポイント

外国人の方 自分での管理と早めの相談を

税金や年金などの払い忘れを防ぐため、可能な限り「口座振替」や「クレジットカード払い」へ登録することをおすすめします。

万が一、未払いに気づいた場合は放置せず、すぐに役所の窓口へ相談し、速やかに納付しましょう。

事業主のみなさん 期限内の厳格な手続きを

外国人スタッフの入退社時は、社会保険や雇用保険の手続きに加え、ハローワークへの「外国人雇用状況の届出」が法律で義務付けられています。

手続きによっては「5日以内」や「10日以内」など非常にタイトな期限もあるため、社内フローを徹底し、遅れや漏れがないように管理することが大切です。

7.まとめ

正しい手続きと適正な納付が、日本での安定した在留活動につながるでしょう。

現在の入管審査や労務管理において、税金・社会保険の支払いや適切な各種届出は、「日本での生活や雇用を継続できるか」を測る大変重要な判断基準となっています。

外国人スタッフご本人の意識だけでなく、会社側の適切なサポートや、お互いの定期的な確認こそが、ビザのトラブルを未然に防ぐ鍵となります。

更新や申請の時期が来る前に、まずは一度、現在の加入・納付状況をチェックしてみることをおすすめします。

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在留資格以外のその他の許認可申請についてお調べの方は、ひかり行政書士法人の総合サイト「許認可.net」もぜひご覧ください。

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